2013 年 5 月 31 日

【研究】気候変動がワイン生産を脅かす

Filed under: 研究 — vinovinovino.com @ 11:25 AM

Photo: Cephas Picture Library/Alamy/Alamy

最新の研究によると、現在の伝統的なワイン生産地は将来、気候変動の影響で3分の2が失われるという予測が発表された。

この研究では、フランスのボルドー、ローヌ地域、イタリアのトスカーナ、カリフォルニアのナパバレー、チリといった主要なワイン生産地域では、温暖化の影響でブドウの栽培が難しくなり、2050年までにワイン生産量が急激に減少すると予測している。

これと同時に、これまでブドウの栽培に適していないとされる地域での栽培が増えていくことが見込まれている。つまり、イギリスを含むヨーロッパ北部、アメリカ北西部、中国中部の丘陵地帯などでより多くのブドウ品種の栽培が可能になることを意味している。

最も劇的な畑の減少はヨーロッパの各地域にまたがると予測される。
Photo: Conservation International

コンサベーション・インターナショナルの上級科学者であり、今回の研究の立案者でもあるLee Hannah氏は「気候変動がワイン生産の地理的分布に大きな変革をもたらすだろう」と述べた。

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研究者らは、乾燥した暑い夏と厳しい冬の寒さという温度差がはっきりしている、良好なブドウを栽培している地域で大きな変化が訪れると予測する。Hannah氏は「現在ヨーロッパで栽培されている品種は、時とともに栽培が難しくなっていくだろう。これはその地域でこれらの品種の栽培ができなくなるということではないが、同じ品質を保って栽培を行うには、灌漑や特別な機器の導入などが必要になり、栽培にかかるコストが増加することになる。」と話す。

ワイン用のブドウは、気温や降雨、日照の微妙な変化に敏感な、特に細心の注意が必要な作物のひとつだ。ワインの専門家らはここ数年の間、より暑く、乾燥していく気候が、多くの重要な生産地において栽培条件を変えていくだろうことを以前から予測はしていた。しかし、米国科学アカデミー紀要に掲載された最新の研究は研究者らをさらに驚かせた。Hannah氏は「大きな変化があるだろうとは思っていたが、これほどとは予期していなかった」と話す。

科学者らは9つのワイン生産地域で影響度合いを測るため、17の異なる気候モデルと、2050年の2つの異なる気候モデルを用いた。ひとつは2.5℃の気温上昇、もうひとつは4.7℃の気温上昇というより深刻なケースだ。

オーストラリアの生産地域も、将来は厳しい状況が待ち構えているとされる。
Photo: Conservation International

どちらの予測でも大きな変化が示唆された。最も劇的な減少が予測されているのはヨーロッパで、ボルドーやローヌ、トスカーナで生産量が85%減少するとされている。またオーストラリアでも74%減、カリフォルニアでも70%減と厳しい見通しだ。さらに南アフリカのケープ地域の生産も55%減、チリでも40%減が予測されている。

南アフリカのケープ地域も例外ではない。 Photo: Conservation International

南アフリカのケープ地域も例外ではない。
Photo: Conservation International

しかし気候変動は、生産者がより高く、涼しい土地を求めているように、ブドウの新しい栽培地の可能性を切り開くかもしれない。ワイン産業はすでに、タスマニアといった新しい地域の可能性を探り始めている。今回の研究知見は、ワイン生産者をイエローストーン国立公園近郊や、中国中部の丘陵地帯などへ向かわせるかもしれない。どちらの地域もワイン生産には十分適していることが研究ではわかっている。

しかし、こういった新しいワイン生産国の探究は、新天地のワイン生産者に、全く新しい潜在的問題をもたらす可能性もある。新しく特定された未来のワイン生産地域のいくつかは、手つかずの自然が残るエリアで、例えば前述のアメリカのイエローストーン国立公園近郊では、牧場主がオオカミによる家畜被害に悩まされている。また中国においては、将来適したワイン生産地域とされているのが絶滅の危機に瀕しているジャイアントパンダのすむ丘陵地帯だ。

環境保護団体Environmental Defence Fund(環境保護基金)の科学者Rebecca Shaw氏は「ワインは将来、野生生物と同じような動きで進んでいくとみられる。この動きは、野生生物の生存を脅かす可能性がある。」と指摘している。

気候変動はまた、新たなブドウ栽培地開拓の可能性を示唆する。生産者はより標高の高い、涼しい土地を探している。 Photo: Conservation International

気候変動はまた、新たなブドウ栽培地開拓の可能性を示唆する。生産者はより標高の高い、涼しい土地を探している。
Photo: Conservation International

Source: The Guardian

 

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