渋谷に「ワインアパートメント」誕生
何本もあるワインコレクションを管理する場所に困っているワイン愛好家たちにとって、ワインセラーを完備し、ソムリエが管理人となっているマンションは、住む場所として完璧な場所かもしれない。
東京渋谷に誕生した『ワインアパートメント』は、地下に温度・湿度管理された、1万本を保管可能なワインセラーを完備している。アパートメントは全18戸すべてに、26本収納可能なワインクーラー、グラス用ラックが備えられている。
このワインアパートメント事業をはじめたイノーヴ株式会社の鈴木貴幸代表は「東京はワイン愛好家にとってユニークな市場」だと話す。
「彼らは飲むことを楽しむだけでなく、ワインに学問的な関心を寄せており、ワインスクールも人気です。このことからワインアパートメントの将来性を見出したのです。」
また11月には人気のビストロ、遠藤利三郎商店1階にオープンする。入居者は1本当たり2000円の開栓料を払えば、ビストロ内へ自身のワインを持ち込み可能だ。さらにビストロの料理を注文し、自宅までデリバリーを頼むこともできる。
鈴木氏によると、現在全体の7割の入居が決まっている。マンションの総面積は42~46平米で、家賃は月額23万9千円から25万8千円。この家賃は同地域の賃貸マンションのものよりも約3割高い額だ。
入居者はワインセラー内に300本までのボトルを保管でき、その管理費として毎月2万円を支払う。300本を超える場合は超過料金を支払う仕組みだ。ソムリエは毎週末このマンションを訪れ、ワインと食事のペアリングについてのアドバイスを行うほか、1時間単位パーティなどでの出張ソムリエも可能だ。
ニュージーランドで大沢ワイナリーを営む大沢泰造さんは、このスペースをオフィス兼、顧客用テイスティングルームとして利用する予定だ。
62歳の大沢さんは2005年、ホークスベイに土地を購入した後、ワイン生産を開始し、2008年にファーストヴィンテージをリリースした。彼はソーヴィニョン・ブラン、ピノ・ノワールをメインにワインをつくっている。
「この場所は、日本におけるセールスネットワークを拡大するのに役立ってくれると思う。」と大沢さんは話す。
ワインアパートメントの入居者はロビーにディスプレイされている100種類の高級ワイングラスを借りることも可能となっている。様々な形のグラスがあり、中にはステムに九谷焼を用いたグラスも。ソムリエが生産地やヴィンテージ、ブドウ品種に合った最適のグラスを選んでくれる。
2015年に全30戸の新たなワインアパートメントのオープンを目指すイノーヴは、さらにミュージシャンがスタジオや自宅として利用できる防音設備の整ったマンションもオープンしている。鈴木さんは「遊び心のあるマンションの開発がしたい。」と話す。
Source: NY Daily News