コショウと同じ香り成分を含む4つのブドウ品種特定。
イタリア、トレントにあるサン・ミケーレ・アッラディジェ農業機関の研究グループが、黒コショウの主要な香り成分であるロタンドンが、4種類のブドウに含まれていることを発見した。この成分はローズマリーやマジョラムといったいくつかのハーブやスパイスにも含まれているものだが、ヴェルポリーナ、スキオッペッティーノ、グリューナー・ヴェルトリーナーといった品種に高濃度で含まれていることがわかった。
この研究は同機関のFulvio Mattivi博士が、ボローニャ大学Daniele Nanni博士とミラノ大学のLeonardo Valenti博士とともに行ったもので、学術専門誌Rapid Communications in Mass Spectrometryに掲載された。現在もイタリア、スペイン、オーストリアワインを対象に続けられている同研究では、この成分がグロッペッロ・ディ・レヴォにも高濃度で含まれていることがわかっている。Mattivi博士によると、ロタンドンは2年前、オーストラリアの研究グループが、コショウの香りが特徴的なシラーのなかに含まれていることが明らかにしたものだという。 スキオッペッティーノとヴェスポリーナにはロタンドンが1リットル当たり560ナノグラム含まれており、これは知覚閾値の35倍、またグリューナー・ヴェルトリーナーは17倍の量が含まれていた。
高濃度のロタンドンが見つかった品種
グロッペッロ・ディ・レヴォ(Groppello di Revò)
密粒型の黒ブドウ。現在はノン渓谷のわずかな生産者が栽培しているのみ。
スキオッペッティーノ(Schioppettino)
コッリ・オリエンターリ・デル・フリウリの土着品種。非常に強い個性をもったワインができる。白コショウなどのスパイス香が特徴。
ヴェルポリーナ(Vespolina)
ノヴァーラ、ヴァレーゼ、パヴィア県で栽培されている土着品種。赤ブドウ。特にスパイス香が特徴的な高品質の赤ワイン生産に利用される。ネッビオーロやボナルダ、クロアティーナといった品種とブレンドしDOCG、DOCワインとして生産される。ヴェルポリーナ100%でつくられるワインは強いスパイス香が特徴。
グリューナー・ヴェルトリーナー(Grüner Veltliner)
オーストリアのブドウ栽培の33%を占める同国の代表的な品種。中央ヨーロッパやイタリア北部(イザルコ渓谷)でも栽培されている。総栽培面積は約24,500ヘクタールで、スパイスやコショウの香りが特徴的な辛口で果実味のある白ワインがつくられる。