2012 年 2 月 29 日

アメリカとEU、オーガニック認証で連携も生産者間で“オーガニック”の解釈に食い違い

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Labeling for products that meet the USDA-NOP s...

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アメリカにおいて『オーガニック』ワインと『オーガニックぶどうでつくられた』ワインの違いは何だろうか?それは二酸化硫黄(亜硫酸塩)の含有量にある。しかしラベル上には『オーガニック』ワインだけが、エコ商品であると一目でわかるUSDA(アメリカ農務省)認定のオーガニックシールを付けることができる。この違いが生産者らの間にオーガニックワインの在り方についての論争を引き起こした。

アメリカの規定は、2012年収穫から『オーガニックワイン』のラベル表記を認めるEUの新基準とは異なる。(以前EUでは『オーガニックぶどうでつくられたワイン』との表記だけが認められていた。)2月初旬に、EU委員会は二酸化硫黄の添加を含むオーガニックワイン生産についての規格に合意した。

2月15日、アメリカとEUはオーガニック商品の認証における提携を発表した。6月1日からはアメリカ、EU内でオーガニック認定をうけた商品は、それぞれの国々においてオーガニック商品として販売できることになる。アメリカ産『オーガニックブドウからつくられた』ワインは、ヨーロッパではオーガニックワインとして売ることができるが、二酸化硫黄を添加したヨーロッパの『オーガニックワイン』はアメリカ市場ではまだ『オーガニックブドウでつくられた』ワインとして売らなければならない。同様の問題はアメリカとカナダ間にもある。カナダでは2009年からオーガニックワインに二酸化硫黄を添加することを認めている。

コロラドのインポーターOrganic VintnersのPaolo Bonetti代表は「もしも100%オーガニックのブドウでつくられたものと、95%以下のオーガニック含有量の商品を同じカテゴリーにできたら、世界の800を超える生産者がアメリカ市場に入り込むことができ、またUSDAのオーガニック認定シールを使うことができる。」と話す。Bonetti氏は、現在のアメリカのオーガニックワインに関するラベル規定は消費者の間に混乱を招き、市場の成長を妨げると主張する。量が増えれば、小売店はよりオーガニックワインを取扱いやすくなる。

Bonetti氏と、オーガニックワインを生産しているカリフォルニアのワイナリー三社(Barra of Mendocino、Paul Dolan Vineyards、Redwood Valley Cellars)は、35の企業と60の個人の支援を受け、2010年4月二酸化硫黄添加の有無にかかわらず、オーガニックブドウからつくられるワインは全て『オーガニック』と認めることを求める請願書を、National Organic Standards Board (NOSB:米国農務省全米有機認証基準委員会)に提出した。

Bonetti氏のグループは、広く使われている保存料(二酸化硫黄)についてあれこれと規定することは、より自然な方法を求めて化学肥料や農薬、除草剤や防かび剤を使わないように努力し、オーガニック認証を取得しようとする生産者のやる気をそぐことになると主張する。Bonetti氏は「USDAのオーガニックシールがなければ、多くの消費者はその商品がオーガニックなのかどうか理解できない。オーガニックミルクと同じように、消費者がオーガニックワインに割増代金を払わなければ、良い仕事をしている生産者も意欲がかきたてられなくなる。」と話す。

NOSB委員会は一旦は請願に賛成したが、FreyやLaRocca Vineyards、The Organic Wine Works、Organic Vintagesなどオーガニック生産者と販売業者の連合グループが現行の規定維持を主張したことから、2011年12月、委員ら9人による最終決議では反対5で棄却された。この連合グループはミネソタ州オーガニック消費者協会が支援しており、これまでに1万以上の署名を集めている。

30年にわたって二酸化硫黄を添加せずワイン生産を行い、独自の基準をつくる活動をしてきたカリフォルニアの生産者Phil LaRoccaさんは「それがワインであろうと、パンであろうと、パスタソースであろうと、“オーガニック”と呼ぶからには高いレベルの基準をキープし続ける努力をすべきだ。」と語る。

もともとブドウに含まれている二酸化硫黄は、有機栽培を行うブドウ畑では毒性のない殺菌剤として認められている。ワインの生産過程や瓶づめ過程で二酸化硫黄を添加することには、酸化や病原菌からワインを守り、フレッシュさを保ち、常温輸送時の品質劣化を防ぐという目的がある。二酸化硫黄を全く加えずにワインをつくる生産者は徐々に増えてきている。しかし大半の生産者は商品流通において二酸化硫黄はクオリティの高いワインをつくるのに不可欠だと考えている。

LaRoccaさんをはじめとする連合グループは、ワインに二酸化硫黄を加えることは人工的なもので、オーガニック規定違反だとしている。 彼は二酸化硫黄なしでワインをつくることは簡単ではないと認識しているが、『オーガニックブドウからつくられた』という表示は、二酸化硫黄を使わずにワインづくりを行う生産者らに受け入れられる公正なやり方だと考えている。

アメリカにおいて、『オーガニックワイン』と『オーガニックブドウからつくられたワイン』はどちらも、オーガニックの認定を受けたブドウ畑でのみ栽培されたブドウからつくられており、オーガニック認定を受けたワイナリーがそれらのワインを生産している。しかし前者の『オーガニックワイン』の二酸化硫黄は発酵段階で自然につくられるものだけで、1リットル当たりの含有量は10mg以下、一方後者の『オーガニックブドウからつくられたワイン』には、1リットル当たり100mgまでの二酸化硫黄を許容している。(これはオーガニックでない通常のワインの二酸化硫黄許容量を大きく下回る数値(1リットル当たり350mg)ではある。)“二酸化硫黄含む”という表記は、喘息をもつ人に何らかの症状を引き起こす可能性があることから必要なものとなっている。また、二酸化硫黄が頭痛やアレルギー反応を引き起こすという人も多く、これはワインに含まれるヒスタミンやタンニンによることもある。

一方で、EUの新規定では『オーガニックワイン』に含まれる二酸化硫黄の許容量は赤ワインで1リットル当たり100mg(通常の赤ワインでは150mg/l)、白ワインとロゼワインで1リットル当たり150mg(通常の白・ロゼワインでは200mg/l)と定めている。デザートワインの場合は、瓶内で残糖分が発酵するのを防ぐため、さらに1リットル当たり30mgの追加が認められている。カナダのオーガニックワインは、二酸化硫黄1リットル当たり100mgが許可されている。

Bonetti氏は、オーガニック食品とオーガニックワインのラベル表記に相違があると、オーガニック商品を購入するのに慣れている消費者にさえ、混乱を招く恐れがあると指摘する。現行の規定では、食品でもワインでも『オーガニック』であるものは、全体の95%はオーガニックの原材料でつくられたものでなければならない(残り5%以下でオーガニックではない加工助剤の利用も認められている)。しかしオーガニック食品の場合、“~からつくられた”と表示されているものは、最低70%のオーガニック原料をつかっていることを意味する。例えばオーガニック栽培のトマトと通常の(オーガニックでない)玉ねぎでつくられたサルサは『オーガニック』サルサではなく、『オーガニックトマトでつくられた』サルサとなる。

原則としてワインはブドウだけの単一原料の商品であるため、『オーガニックブドウでつくられた』と書かれている場合、100%オーガニックブドウでつくられている意味合いになる。このため全体の30%にオーガニックでないブドウをつかっているワイン(例えば70%がオーガニックのカベルネソーヴィニョンで30%がオーガニックでないメルローでつくられたワインの場合など)は“オーガニックブドウとオーガニックでないブドウからつくられた”ワインというカテゴリーになるかもしれない。

現在のところ、Bonetti氏は規定変更にかける時間とコストを一時中断させ、オーガニック商品やラベリング、二酸化硫黄について消費者の理解を深めていくための活動に注力している。しかしBonetti氏は規定変更の請願をあきらめたわけではない。「もし4~5万ドルの援助を受けることができたら、15人いるNOSB委員が総入れ替えとなる5年以内に再度挑戦する。」と意欲を見せている。

Source : Wine Spectator

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