2012 年 3 月 6 日

通常より味覚の鋭いワイン専門家の意見は本当に参考になるか?

Filed under: 研究 — vinovinovino.com @ 6:36 PM
Sommelier F.I.S.A.R.

Image via Wikipedia

ある特別な機会のためにワインを選ぶのは簡単ではない。多様なワインのなかから一つを選ぶとき、私たちの多くが、ワインの専門家(ワインライターやソムリエ、ワイン評論家など)のアドバイスを参考にし、ワインを選ぶときのリスクを最小限のものにしようとする。

おそらくワインのエキスパートは一杯のグラスワインのなかで、アスパラガスやストロベリーなどといったわずかな風味の違いを感じることができる。あなたの場合はどうだろうか?あなたがそのようなワインのなかの小さな味覚の違いを区別できなければ、鋭い味覚をもつワインエキスパートの評価や提案はあなたにとって適切ではないということかもしれない。

ペンシルバニア州立大学とカナダ・ブロック大学の研究チームのある研究結果が2012年3月のAmerican Journal of Enology and Viticultureに掲載された。

ペンシルベニア州立大学食品科学部助教授で、知覚評価センター長のJohn Hayes氏は「我々はワインエキスパートの根本的な味覚能力が一般的なそれとは異なることを発見した。もしエキスパートの味を見分ける能力が我々のものと違っている場合、我々は彼らの勧めを聞き入れなければならないのだろうか?」と話す。

ブロック大学のGary Pickering教授は、ワインライターやワイン評論家、訓練された小売店スタッフなどのアドバイスが一般消費者に及ぼす影響を調査したいと考えた。この研究は味覚の敏感さがどのようにワインの好みに影響を与えるかを調べ、またエキスパートと平均的消費者の間の味覚に関する類似点を測ることを目的としてすすめられた。

研究では、約330人を対象にPROPとして知られる無臭の化学物質を味見してもらい、苦味に対する反応を調べた。またワインに関する知識などにもこたえてもらい、参加者をワインのエキスパートと平均的消費者の二つに分けた。研究者らによると、鋭い味覚を持つ人(エキスパート)はPROPを非常に苦いものと感じていたが、普通の味覚の人は若干苦味を感じる、もしくは味がないと答えた。ワインエキスパートは、そうでない人よりもPROPにより苦味を感じているというこの結果は、彼らが味に対して非常に敏感だということを示している。

人は苦味の感じ方によって3つのカテゴリーに分けられるという。一つは味をほとんど感じない“ノーテイスター”、多少の苦味を感じる“テイスター”、そして苦味に非常に敏感な“スーパーテイスター”である。苦味を感じる能力は、毒性の可能性のある物質を避けるため、その物質を素早く特定する働きから現れる(毒性のあるものは苦味をもっているものが多い)。しかし苦味に敏感すぎることにはマイナスの面もある。多くの研究で、“スーパーテイスター”は数種の野菜(ブロッコリーやキャベツなど)を避ける傾向があり、また“テイスター”と比べると、一般的により脂肪分の多い食事をとるため健康に影響がでることもある。そしてこのことが“ノーテイスター”の遺伝子が残った理由だと研究者らは見ている。実際、苦味へ感度は特定の遺伝子によって決められた特徴である、舌にある苦味を感じる受容体の密度によるものだ。

さらに新しい食べ物を試そうとする意欲の高い人ほど、新しいタイプのワインやアルコール飲料を試したいと思う傾向があることもわかった。しかしHayes氏は、新しいワインやアルコールを試す傾向の強いワインエキスパートは、必ずしも新しい食べ物を試そうとする傾向があるわけではないと説明する。

Hayes氏は過去の研究で、エキスパートの鋭い味覚には生物学的要因が関わっている可能性があることを示していると話す。学習することや、ワインについて自分の思いや意見を伝えることは、彼らの専門知識の一部であるが、ワインエキスパートのなかにはワインの中の小さな香りや風味などの違いを区別することを学ぶ上で、生まれつきのアドバンテージがある人がいる。Hayes氏によると、学んだ知識によるものだけではなく、生物学的レベルで他とは異なるエキスパートもいるという。また高い味覚能力を持つ人が、ワインや食に関連した職に就く傾向があることもわかった。Pickering教授は、「一般の消費者は、味覚の度合いが異なるエキスパートのアドバイスをやみくもに受け入れるのではなく、多少慎重になるべきだろう。」と話す。

今回の調査では、重要な新商品開発やマーケティングチャンスについても示された。「我々はアメリカ、ニュージーランド、オーストラリアにおける消費者の好みや購入動向を、彼らの味覚の感度と照らし合わせ、大量のデータを調べている。これはワイン生産者や小売店、マーケターにとって興味深いものになるはずだ。」

Source : EarthSky, oggiscienza, CCOVI News (Brock University)

※3月7日 一部追記しました。

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